2023年4月14日
[公開書簡]
2023年4月14日
法務大臣 齋藤 健 殿
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
理事長 阿部 理恵子
入管施設被収容者たちの人権侵害を訴える声を真摯に受け止め、
出入国管理及び難民認定法の国際人権基準に則った改正を求める
アムネスティ・インターナショナルは、2022年10月から11月にかけて、長期にわたって収容されている人を含む、入管施設の被収容者・元被収容者30人あまりに対し聞き取り調査を実施しました。また、法務省管轄の出入国在留管理庁(入管庁)の職員や入管収容の問題に取り組むNGO関係者にも聞き取りを行いました。その主な目的は、日本の入管施設における収容の実態を明らかにすることです。そして2023年3月15日、結果をプレスリリース『日本:終わりなき収容 入管法改悪の動きに声を上げる移住者』として発表しました。
これらの聞き取り調査を通じ、恣意的かつ無期限の収容や、暴行、独居拘禁、不適切な医療体制、さらには入管職員による不当な扱いなど、被収容者に対する人権侵害の事例が多く確認されました。
日本政府は入管施設の問題について、これまでに国際人権条約機関から再三にわたる改善勧告を受けてきました。しかし、それらの国際社会の勧告を無視するような「出入国管理及び難民認定法案」(入管法案)が、今まさに国会で審議されています。
5月に行われるG7広島サミットは、「自由、民主主義、人権などの基本的価値を共有するG7首脳」の意見交換の場であると日本政府は説明しています。
その日本政府に対し、アムネスティ・インターナショナルは、入管収容に関する聞き取り調査を行った第三者の立場から、以下のことをあらためて要請いたします。
- 入管施設内で身体的自由を奪われた者に対し激しい苦痛を与えることを直ちに中止し、不当な扱いが行われた可能性のあるすべての事例について、迅速かつ独立した捜査を開始する。
- 庇護希望者や非正規滞在者の機械的な収容をやめる。
- 収容を開始する際の適法性、収容を継続する必要性および比例性に関して、裁判所は、遅滞なく決定を行い、違法と判断する場合には収容からの釈放を命じる。このような司法審査は定期的もしくは被収容者の要求に応じて実施する。収容は、長期または無期であってはならず、また、いかなる残虐で非人道的な扱いからも保護されなければならない。
- ノン・ルフールマン原則を遵守し、深刻な人権侵害に直面する可能性のある国または地域へ移送されることのないよう、送還停止の例外を設けるべきでない。特に、帰国すると深刻な人権侵害に直面するという相当な根拠が認められる場合には、個人を送還するという決定において効果的かつ独立公正な審査の機会が保障されなければならない。
- 収容されたすべての外国人が、人道的かつ尊厳を尊重して扱われ、収容の条件、合法性、期間について訴える権利を有することを確認すること。これには、拘禁中に適切かつ迅速な医療を受けることも含まれる。
- 「拷問及びその他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約」が規定する拷問の定義の再確認を含め、入管職員に対する人権研修を実施する。
収容されている庇護希望者や非正規滞在者が置かれている人権侵害の状況が一刻も早く改善されるよう、入管法を国際人権基準に則ったものに改正してください。
以上